1985年から四半世紀に及び、市民スポーツクラブ「中野ジョイサークル&トライアスロン・ビューロー」のリーダーとして毎月の会報に記してきたコメントの中から、クラブメンバーが私の語録として取りまとめたものを、ここに紹介いたします。市民スポーツの基本精神やその取り組み方などについて収録するとともに、誰もがフル・マラソンに挑戦できる道筋を解説しています。
中野JC創立10周年記念シンポジウム&パーティ・メッセージ
トライアスロン文化の創造に向けて ~市民スポーツの原点/その劇的なるものを求めて~
◆ 1985年春、島田文武が中野JC(ジョイサークル)のクラブ設立を宣言し、トライアスロンへの参画を決意してから足掛け10年の歳月が経過しようとしています。 この間、私たちはその名の通りジョイ(楽しく喜びに溢れた)サークル(友情に満ちた集まり)として、トライアスロンをはじめマラソン、サイクリング、スイミング、ハイキング、そのほか様々なスポーツ行事と行楽を通じて共に喜びと楽しみ分かち合い、心身の鍛練と向上に努めてまいりました。
しかしまた、私たちクラブが目指すものは、スポーツが単に肉体や精神の鍛練に終始するだけでなく、また各種大会において自己記録の更新や勝利を獲得することだけではなく、何よりもサークル活動全体を通じて個々人が人間としての知恵と見識を身に付け、スポーツマン同志の友情と友愛を深め、心の豊かさと潤いを得るための活動であると確信しています。その意味で私たちのクラブ活動は、競争の勝利ではなく、人間としての勝利に結びつくものでなくてはなりません。
ところで私たちのクラブ会員は、通信連絡費として年間1,000円の会費の納入を義務づけられておりますが、それ以外の練習会、合宿、大会参加などの活動経費はすべて受益者負担の原則に基づき、参加したものが応分に負担することになっています。そうすることによって会員はクラブ活動への参加に関し自らの義務と責任を自覚し、スポーツマンとしての自主性と創造性を高めることができるからです。
また私たちは、そうしたクラブ活動の意義と精神を理解する人であれば、年齢、性別、職業など一切を問わず入会を認め、平等かつ互恵の精神に基づき交際してまいりました。和気藹々と友情の輪を拡げることが、何よりも市民スポーツクラブの市民クラブ活動たる所以だと思うからです。ですから私たちは常に市民スポーツクラブの原点に立ちつつ、トライアスロン文化の創造に向けた活動を展開していきたいと思っています。
そしてまた、私たちはこれまでの10年間に及ぶクラブ活動の経験から得られた多くの知識と教訓を生かしながら、スポーツの楽しみを存分に味わいつつも、さらに私たちサークルの友情と信頼の輪が人間として生きる感動を与え続けてくれるであろうこと、そして人格の形成に多大な影響を及ぼしてくれるであろうことを願ってやみません。
1995年2月25日
◆レースに出場するということは、競争して勝ったり自己記録を更新するなど好成績をあげるのが目的と考えがちですが、決してそればかりではありません。まず、何よりも自分自身の目標を掲げつつ自らを励まし努力してみること、レース中に自己の能力と体調を確かめながら次なる飛躍への糧とするためです。そして私たちは、レースそのものをも楽しんでしまう気持ちが大切です。
◆大切なことは、目的意識をしっかり持つことです。漫然とトレーニングをしているのではなく、今やっている練習は自分の身体のどの部分を強化し、または調整しているのか、そのことによってどのような効果がもたらされ、自分の目標を達成することができるのか、という分析と把握が必要です。(中略)大切なことは、 自分の目標と練習の内容や取り組み方が理にかなって効果的であることです。<1988年6月会報より>
◆従来までの家庭や職場、あるいは地域社会のつながりとはまったく別な領域での、より融和的で優しい人間関係の形成と発展です。このなかで私達は学び、かつ体験し、知識と教養と健康と人格を養っていこうとしています。当サークルが、そのような場としての役割を担っていければ大変、すばらしいことだと思っています。<88年10月会報より>
◆自分の能力、体調、スケジュール、それらすべてのファクターを考慮しつつ、ゆっくりとやることです。 その意味でもトレーニングの半分はコンディショニングと心得て下さい。要は強くなるための練習ばかりをしてはいけないということです。怪我をしないように、自己制御する能力が大切なのです。<88年11月会報より>
◆先を愁いていては何も始まりません。心と身体が常に変化する人間と同じように、時代には波があり、良いことも悪いことも生じます。その時代の変化に惑うことなく、いつも自分に自信を抱いて対処していくことです。今後とも私たちはスポーツを通じ、共に心身の鍛練に励みつつ、時代の荒波を乗り越えていきましょう。いままで通り気持をしっかり持って、青空のように澄み切った心で、元気に歩んでいこうではありませんか。<2002年新春メッセージより>
◆スポーツの栄光は、競技の勝者に与えられるだけでなく、自分自身に打ち勝った者にも与えられる筈です。<2002年11月会報より>
◆新しい年の始まりは、誰もが新たな期待に胸を膨らませます。そしてなによりも、人間としての心の交流、その深化と発展に大きな期待を抱きます。心の交流とは、喜びと優しさに満ちた友愛の情といってもよいでしょう。でも友愛の情は、自分自身のことばかりを考えていては気づかないし進展もしません。だから閉ざしていた自分の心をゆるやかに解き放ち、いつも心を自由に保ち続けていれば、やがて友愛の輪は大きな広がりをもちながら、現在の情況や周囲の環境を好転させてくれることでしょう。年頭に当たって改め、家族や友人たちの友愛の姿に思いをとどめつつ、新年の第一歩を踏み出したいと思います。JCがいつまでも、友愛に満ちた人々の集まりであることを祈りつつ。love always <2003年新春メッセージより>
◆私たちスポーツを愛する者は今後とも暴力に屈することなく、また今の悪しき時代の潮流に流されることなく、知恵(Intelligence)の力で美しい地球を守り、平和(Peace)を求めていく努力を払わねばならないと考えます。そのために今後とも、私たちJCの理念でもあるCommunication(心の交流)を豊かにして、ともにFriendship(友愛の情)を高めていくことが大切だと考えます。<2004年新春メッセージより>
◆このような時代は、スポーツを楽しんでいる余裕などありません。でも、私たちは一生懸命、働く一方、文化行事やスポーツ活動など余暇活動を通じて、自分の生きがいや知恵、人格を磨いていくことも、人生の大切な営みではないかと考えます。この世に生まれ、人間として成長し、意義ある人生を送っていくために、 “楽しみ遊び学ぶ”ことは欠かせません。
私たちスポーツを愛する者は、そして自然環境と人間同士の友愛を大切にする者は、今日の社会状況を打開していくために、良き労働と報酬を得ながらカルチャー&スポーツを通じて、人間的な資質を高めていく必要があると思います。<2005年新春メッセージより>
ランニングのやり方考え方
ウォーキング&ジョギングを含めエクササイズとしてのランニングは、有酸素運動(エアロビック・エクササイズ)と呼ぶ常に酸素が存在する条件下で行う全身運動です。運動中に間断なく酸素を摂り込むことによって、抹消毛細血管を押し広げ血流の循環を活発化させ、筋肉中のグリコーゲンならびに内臓に付着している脂肪類を燃焼させるという、人間の体内中で有気的化学変化を起こさせるために行う運動です。
その結果、心臓や肺臓、血管をはじめとする循環器系の機能が高まり、より高いレベルでの運動が可能になります。また、それによって肥満や血中脂肪(コレステロール)が解消されることにより、心筋梗塞や高脂血症、高血圧など、特に成人病の予防に大きな効果を得ることができます。さらに運動後の爽快感は、ストレスの除去と食欲の増進をもたらし、健康な生活を送る基盤となることでしょう。
<やり方>
ここで示すトレーニングメニューとスケジュールは、最終的に誰もが向こう3年以内に42.195Kmのフルマラソンを5時間以内に完走することを目標にしています。それは、今までランニングの経験がない初心者でも、続けさえすれば可能となる方法です。
まず最初の3ヶ月は、週1~2回の割で20~40分間走ります。それもゆっくりと、歩くよりも少し速い程度で十分です。息切れがしたり、走るのが辛く重かったならば、歩いてもかまいません。むしろ歩きながら走ればよいのです。距離は気にしないことです。あくまで時間を目安に走ります。走り出して20分前後には体内の脂肪が燃え始めるはずです。
次の6ヶ月間は、つまりランニングを始めて9ヵ月目までは、週2回以上、40分前後走ればよいでしょう。体調が悪く走りたくないときは、絶対に走ってはいけません。ただし、週1回は走ってください。その場合、あとの1回はランニングの代わりにスイミングなど、他の運動種目を楽しむのも一策です。
次の3ヶ月間は、週2回、40~60分、走ります。また、この時点では、ランニングの基本フォームを習得しておく方が得策です。習得している、いないでは、その後の練習法と効果(スピードとトレーニング量など)に、大きな違いが出てきます。
さて、これでランニングを開始して以来、1年が経過しましたが、これまで前記のトレーニングメニューをこなしてきた方は、身体機能はすでにしてスポーツマン&ウーマンの体質に変化してきています。しかし、前記のメニューがこなせなかった方は、こなすまで時間をかけて行うことが大切です。
2年目に入ったトレーニングのやり方は、やはり基本は同じく、ゆっくり時間をかけて走ることです。週2~3回、1時間前後、走ればよいでしょう。また、1ヶ月に一度は時間にして2~3時間、距離にして20Km前後、走ることにトライしてください。
さらにこの時期に5Kmないしは10Kmのロードレース大会に参加して、自分の実力を確かめるとよいでしょう。ここまでトレーニングを順調に消化していれば、おそらく5Kmのタイムは平坦地で25分前後、10Kmでは同50分前後の記録が達成できるはずです。レースに参加、出場することは、自己のまだ発揮されていない能力を引き出すためにも、また限界を知るためにも、さらに次の目標を定めるためにも、大切なトレーニングの一環です。
2年目が終わり3年目に入ったならば、長い時間と距離を走るようにします。週に3~4回、走る時間と距離に抑揚をつけて行います。たとえば、週4回走るとしたならば、うち2回は1時間前後のマイペース走、1回は30分程度のスピード走(前後にアップ&ダウン走を行う)、残りの1回はゆっくり20Km程度の距離走を行います。常に自分の体調とよく相談しながら、取り組みましょう。
また、身体全体が柔軟性を保つよう柔軟体操と腹筋・背筋運動を行うとともに、足腰の筋肉や筋はストレッチして、よく伸ばしておくよう心がけることです。そして、この期間は20Kmや30Kmのレースに参加し、その集約としてフルマラソンにチャレンジしてください。
<注意点>
ランニングシューズは、良質なものを揃える必要があります。安物で間に合わせようとすると、膝関節やアキレス腱炎など脚腰部分の骨、関節、筋、筋肉などに障害を引き起こす原因になります。できればトレーニング用とレース用を2足、用意すればベターです。
走る時間帯は、食後2時間以上経ったならば、いつでも結構です。早朝は目覚めてから最低30分以上、経過してから走ってください。その間、準備体操やストレッチを行うことです。朝の方が夜よりも空気密度が濃いためトレーニング効果が高いといわれていますが、強い運動ができる時間帯は昼間の方です。
走る場所は、基本的に柔らかい土の上がベストです。公園内の芝や草の上、河川の土手堤などを利用します。固いコンクリートの道を避け、たとえば比較的、柔らかなアスファルトの路面を選ぶなど、走る場所には気を使いましょう。
走るコースは、自由気ままに選ぶことです。毎日同じ道を義務的に走ってはいけません。身体がストレスを感じてしまうし、疲れ方も大きくなります。要は楽しく快適に走ることが、何よりも大切なのです。